大衆と違った見方にチャンスあり

大衆と違った見方にチャンスあり

大衆と違った見方にチャンスあり

ソフトバンクグループ株式会社(以下、SBG)に対してこのような印象を持っている人も多いかもしれない。・weworkへの投資失敗による多額の損失で苦しんでいる。・失敗している投資が複数ありビジョンファンドの投資が上手く機能していない。・多額の借金を抱えて倒産の可能性がある。そんな印象を持たれている中、2020年2月12日にSBGが2020年3月期第3四半期の決算を発表し、営業利益は赤字の-129億円であった。専ら赤字の営業利益が注目される訳だが、決算発表の中で孫会長兼社長は100名程集まった記者に対して以下のような趣旨の質問をした。SBGが出資している上場企業のUberとAlibabaそれぞれの時価評価額の変動の何%が営業利益に反映されるか。答えはUber100%, Alibaba0%である。この質問に対して自信を持って答えられた記者はなんと1名だけであった。SBG及び決算発表内容を専門に報道する記者が、SBGが発表する営業利益の意味をよく理解していないのである。それでは経済に特化した新聞や雑誌で情報を得ている大衆が本当に有益な視点で情報を捉えることができるはずがないと思う。最近SBGは、事業については保有する事業会社に任せて、自身は投資会社の位置付けを鮮明にしている。そんなSBGに対しては、その保有資産で価値を評価する見方もできるはずである。SBGはAlibabaの株式の約30%程度を保有しており、株式市場での時価はSBGの保有分のみで今期数兆円上昇し16.1兆円の価値に達している。一方でSBG単体の純有利子負債は4.8兆円。SBGが保有するAlibabaの価値から返済すべき負債を差し引くと11.3兆円。その他直接保有する上場企業としては日本のソフトバンク、アメリカのSprintがあり、SBGの保有分のみで4.8兆円、3.2兆円の価値がある。11.3兆円に4.8兆円と3.2兆円を足すと19.3兆円になる。その他にアームやソフトバンク・ビジョン・ファンドも保有している。SBGの発表によると2020年2月12日時点で保有資産から支払うべき負債を差し引いた純粋な価値(株主価値)は25兆円である。こんな見方はできないだろうか。・wework等のように損失を出す投資先があっても保有資産からすると誤差と言える程度である。・いくつも投資していたら一部で損失となる投資先があっても当然であり、 1つでもAlibabaのように成長する投資先があれば余りある利益となる。・SBGの借金は保有資産の価値と比べるとほんの数%に過ぎない。SBGの2020年3月期第3四半期の営業利益が赤字の-129億円なのは事実である。SBGの2020年2月12日時点の株主価値が25兆円なのも事実である。そんなSBGの株式を時価総額12兆円に留まる水準で買うことができる。これをどう捉えるか。大衆の見方とのギャップがチャンスと思う。大きなチャンスを掴むには大衆の意見に流されてはいけない。確信を持って大衆と違った見方ができる能力が必要と思う。