演劇に情熱を注ぐ高校生達が本物の舞台で上演する機会を提供してあげたい。

演劇に情熱を注ぐ高校生達が本物の舞台で上演する機会を提供してあげたい。

大阪高校生演劇フェスティバル in 池田

【大阪高校生演劇フェスティバル】(以下:演フェス) 開催のルーツについて演フェスは特定非営利活動法人 北摂こども文化協会が主催して実施しています。2021年の講演は第20回目を迎えます。そこで第20回目の節目に演フェスの実施提案者の立石美佐子氏と神田恭子氏にその思いを語って頂きました。北摂こども文化協会 顧問である立石 美佐子(当時、専務理事・右)と理事である神田 恭子(当時、副理事長・左)が2000年11月に偶然通りすがりに観た高校生演劇の近畿大会がきっかけでした。その演劇に二人は感動し、ぜひこの演劇を自分たちの地域の方に観てもらいたい一心で、演じた高校の演劇部の先生にお願いをして、地元地域で上演していただいたのです。作品名は「父と暮らせば」で演劇をしてくれたのは大阪府立 長尾高校(大阪府 枚方市)でした。この作品は、見事近畿大会を突破し、山形県で行われる全国大会に出場することが決定しました。そこで、その年ふたりは遠く山形県で開催されていた高校演劇全国大会を何かに背中を押される思いで観に行きました。ところが行ってみると、大会を鑑賞するには入場チケットが必要だったのです。そんなことは知らずにとにかく赴いた二人。残念ながら大会会場に入ることができません。受付の方に遠く大阪から来たと情に訴えお願いするも、お断りされてしまいます。それでも頼み込みましたがやはり駄目でした。「何としても観たい!」その時に出た知恵は、途中から帰る方に頼みこみチケットを譲って頂く事でした。見事!出てこられる優しそうな方を選び、チケットをゲットしました。何度もアタックする間に、既に「顔見知り」にはなっていた受付の方にチケットを見せ、半ばあきれ顔で入場させて頂きました。会場に足を踏み入れると、高校生たちが舞台で精いっぱい表現していました。その熱い思い。力を合わせて取り組んでいる姿。こういう機会をもてた高校生は幸せだと感じました。ですが、全国大会にでることができる高校生はほんの一握りです。そこで一念発起、地元地域のホールでも高校生に演劇の表現の場を提供すると同時にそれを地域の人たちにも見てもらいたいと強く願ったことが演フェスのはじまりです。演フェスとは2001年より毎年欠かさず、大阪府池田市立市民文化会館小ホールにて行ってきた高校生のための演劇祭です。大阪府下の高等学校(公立、私立問わず)から出場を募集し、独自の基準で選出した5校の演劇部による公演を行います。2021年は第20回目を迎えます。演フェス 3つの目的とSDGsとの関係演フェスの目的1 大会場で発表する機会の少ない高校生にチャンスを提供する。SDGs 4の取り組み演フェスの目的2 子どもの権利条約第13条(表現の自由)および第31条(文化的・芸術的生活への参加)を保障する。演劇活動においては、ジェンダーの平等を促進する。SDGs5 ジェンダーの平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う。SDGs 5の取り組み演フェスの目的3 広く一般、地域の人、若い人にも観てもらい、演劇の魅力、作品に込めた高校生の想い(若者世代の社会へのメッセージ)を伝える。そして地域活性化につながる。SDGs 8-9 の取り組み 地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。独自の選考基準限られた上演数のため、毎年、どの作品・どの学校に上演してもらうか、応募校の中から選定しなければなりません。そこで必要となるのが基準ですが、演フェスでは独自の基準を設定しています。高校生の自己表現演技や演出の技術の高さを競うのではなく、高校生世代の悩みや葛藤、社会に対する物の見方などが表れているか、「高校生の自己表現」に着目しています。高校生が演じることの熱意や意義を感じられる作品を高く評価します。高校生の想いに耳を傾けたいいじめ・ひきこもり・不登校・若年妊娠・虐待等。ここ数年上演されてきた作品のテーマです。若者をめぐる問題に高校生自身も関心を寄せていることがうかがい知れます。その上で、これらの問題を、彼ら彼女ら自身がどう受け止め、何を感じているのか。当事者世代としてこれらの問題をどう受け止め、日々何を考えているのか。私たちは、高校生の想いに耳を傾けたい。だからこそ、高校生の感じ方や社会のとらえ方が垣間見える作品に価値を置いています。また、コンクールの様に勝ち抜きではなく、演じる機会を提供することが励みにもなります。過去には部員一人しかいない演劇部が上演を果たしました。部員一人でどうやって舞台を打つのと疑問をお持ちの方もおられるでしょう。それは、他の出演校や出演しない他校の演劇部員が、その一人しかいない弱小演劇部の上演に力を貸すからです。他校同士が競い合うコンクールと異なり、演フェスは他校同士が協力し合う文化を育んでいます。高校生が求めている演フェス演フェスのバラシや仕込みでの高校生の姿、フィナーレでの達成感にあふれた表情や高揚した雰囲気を目の当たりにするにつれ、若き血、高校生の輝きに胸を打たれます。「演フェス最高!」「こんな機会を本当にありがとうございました!!」と汗を飛ばしながら、叫ぶように、深々と頭を下げて、感動と感謝の言葉を発する高校生たち。演フェスフィナーレでは毎回、演劇高校生たちに「今の体験・経験の場」を提供できたことに喜びを感じます。「後輩のために、今後も絶対続けてください!」高校生が情熱をかけるのは、高校野球だけじゃない。どの世界に興味をもったとしても、今を生きる高校生が、高校時代に豊かな経験を積み、人として成熟していくことを応援し続ける義務が私たち大人にあります。そして高校生活は3年しかありません。高校生演劇の現状最近では高校演劇のイベントも増えてきているものの、運動部なら、本番さながらの練習試合が年に何回も出来ます。それとは違い、演劇部は文化祭などで年1回ほど、自校の体育館で発表するケースがほとんどです。また部員の数が少なくて役者がいても裏方が揃わず、出場を断念せざる得ない学校が多いのが現状です。そして何よりも、今年はコロナ禍により出演機会そのものが失われるという状況が・・・大阪府大会においても出演者のみの鑑賞という無観客上演での実施となっています。ウィズコロナ時代の演フェスでは観客数を制限する一方で、第20回開催については、ライブ配信による公演に挑戦します。実践技術研究会(プロによる実施指導)プロの技術とノウハウを肌で実感出来る。それが本フェスティバルの大きな特徴です。プロの現場を体験出来ます。演フェスに参加する高校生たちは、開催前の事前打ち合わせ、ホール打合わせで専門機材に触れ、プロからの指導を得られる貴重な機会を設け、表現活動の充実を体験しています。様々な人との交流の場の提供演じられないが、受付などの運営スタッフとして協力する高校など、高校生同士の交流や助け合いが、積極的に行なわれています。さらに実践技術研究会でのおとなとの交流関係者同士が協力し合いながらフェスティバルを創り上げ、その結果交流が生まれ、モチベ―ションの高揚につながっています。フィナーレフィナーレも、演フェスならではの取り組みで大切にしているプログラムです。上演校の演劇部員全員が舞台にあがります。役者も裏方も、上級生も下級生も、部員誰しもが区別なくステージに立ち、ライトを浴びて、マイクを持ち、熱気冷めやらぬ終わったばかりの演フェスを振り返り、一言メッセージ。それぞれの立場から、共に創り上げた「この演フェス」の体験を言葉にしてくれます。「本当に自分と同い年の人たちが目の前で芝居をしているのかな...と疑いたくなるほどの作品がたくさんあって、何度も圧倒されました。全力で全員取り組んでいる姿がすごく素敵で、やっぱり演劇っていいなと改めて思いました」「ひとりでも、3人でもホールいっぱいのお客様を動かすパワーに圧倒されました」「ただ劇を見て『よかったなあ』で終わらせるのではなく、これを見た私たちだからこそできる事を考えるのが大切だと思いました」参加した高校生の感想に、目頭が熱くなります。「豚汁」Pork Soup への熱い思い第一回目から続けてきた事がまだあります。それは豚汁のふるまいです。朝から晩まである演フェス。お腹も空きます。食べ盛りの若き高校生たちのおなかを満たすために始めた豚汁ですが、「同じ釜の飯を食う」と仲間意識が高まるんですね。高校生もスタッフも劇場関係者も、同じ豚汁を食べることによって、自然な連帯感が生まれています。演フェスの豚汁を食べた人たちが、いつしか豚汁を味わうたびに、この演劇フェスティバルを思い出し、演フェスの話題に花が咲く事を願っています。今後も続けていくために今回で20回目を数える演フェスですが、実は毎回赤字で続けております。私達だけの力で続けるには限界があります。高校生のやってみたい意欲、挑戦してみたい好奇心。どちらも人の成長の根源となる大切な要素だと思いますが、当協会の力だけでは、その高校生たちの自然な"想い"の多くに応じてあげることができないのが事実です。若者の成長を助け、第20回目以降の毎年の開催を 支えるために。一緒に関心を持っていただければ幸いです。ぜひご連絡ください。★最後に神田理事の言葉を紹介したいと思います。「文化の花は少しずつしか咲かないが、枯らせるのは一瞬である」箕面高等学校 第14回目 2015年より の1シーン千里高等学校 第14回 2015年 よりの 1シーン金蘭会高等学校 第16回 2017年 よりの1シーン第20回大阪高校生演劇フェスティバルin池田 実施概要タイトル 「大阪高校生演劇フェスティバル イン 池田」日程:2021年1月30日(土)9:30開場、10:00開演会場:池田市民文化会館小ホール後援:池田市 池田市教育委員会観覧方法:会場ではコロナ禍予防のため無観客上演 今回初めてネットでの配信も予定詳しくは北摂こども文化協会 HP http://hokusetsukodomo.com/またはメールhcca@12kodomo31.or.jp までご連絡お待ち致しております。