自然から学び、楽しむ生き方に出会う【大阪自然史フェスティバル】の復活を!

自然から学び、楽しむ生き方に出会う【大阪自然史フェスティバル】の復活を!

博物館をまるごと使った「自然派市民の文化祭」。新型コロナで2年間中断された交流の場を継続させるために、皆さんの力を貸してください!

大阪自然史フェスティバルとは何か、何がここまで人々を惹きつけるのか、事務局を担うNPO法人大阪自然史センター事務局長の川上和歌子さん、教育普及事業担当の西澤真樹子さんにお聞きしました。-1. プロジェクトをやろうと思った理由・きっかけは何ですか。①自然を学び楽しむ人々の出会いの機会・交流の場を守りたい そして、②イベントを通した若い学生世代の経験の機会をつくりたい というのが理由です。大阪自然史フェスティバルの出展団体には、数十年の歴史を持つベテラン団体から、大学や研究室(大阪市立大学恐竜愛好会ジェラシックパー君、近大ホネホネ団、近畿大学理工学部理学科地球化学研究室、兵庫県立大学淡路キャンパス等)、子どもたちのサークル(奈良つばめねぐら子ども研究部 、なにわホネホネ団(http://naniwahone.g2.xrea.com)まで多様な世代が参加しています。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2年連続で開催が中止。オンラインで講演会などは実施しましたが、参加者数(Youtubeの視聴数)は最大158人(2020年)、1,027回(2021年)と、実会場での開催には遠く及びませんでした。いつもはイベント会場で大賑わいのはずの、空っぽのポーチ「自然」と関わって働きたい学生たちにとって、フェスの中止は大きな機会損失に大阪自然史フェスティバル2019の学生アルバイト会場運営には、様々な大学から大勢の大学生アルバイトが投入されたため、自然を学び楽しむ同年代の仲間との出会いの場にもなってきました。小学校や中学校の教員志望、理系大学の研究者の卵、博物館学芸員を目指している人も。博物館の子どもワークショップのボランティアや、子どもの頃から博物館に通い、博物館で育った人もいます。大阪自然史フェスティバルの現場で、自然や生きものを見つめ、大切にして生きる人たちとの交流がもたらす効果は、子どもたち、特に将来を考える学生たちにとって、高いモチベーションと人間関係を得られる時間といえます。コロナに翻弄された2年間は、そんな貴重な時間を若い世代から奪ってしまいました。本プロジェクトでは学生世代のスタッフをこれまで以上に増やし、失われたこの2年間の機会を少しでも取り戻すため、多くの方々の支援を得て、大幅に減るであろう企業協賛や寄付をカバーしながら、2022年の大阪自然史フェスティバルを確実に、そして安全に実施したいと考えています。2. メンター自身の人生・経歴(あなたがどんな人でどんな経歴を歩み、何がこのプロジェクトにつながったのか)本プロジェクトを立ち上げた川上と西澤は、ともに学生時代、「博物館」という存在に出会い、強く惹きつけられた者同士です。大好きなナガスクジラの骨の下で「私たちは子どもの頃から自然の中で過ごすことが大好きでした」西澤は山梨の都留文科大学で環境生態学を学び、大阪への転居をきっかけに動物研究室でのデータ入力のアルバイトに入りました。学生時代はカエルやイモリ、リスやタヌキ、野ネズミといった里山の生きものたちを観察し、その魅力を地域の子どもたちに伝える活動を続けてきました。自然の中で生き生きと活動する生きものを見ていると心の底から幸せになり、その気持ちは今でも全く変わりません。野ネズミの捕獲調査中アカネズミミズイロオナガシジミ川上は追手門学院大で博物館学を学び、教授に勧められて自然史博物館の特別展のアルバイトから博物館に関わるきっかけを持ちました。事務所や研究室のお手伝いを経て、立ち上げ間もない大阪自然史センターで西澤と共にミュージアムショップのアルバイトに従事していたのも懐かしい思い出です。魚類の学芸員と親しくなり、共通の知人を介して海の魅力にとりつかれ、和歌山やフィリピンの海に何度も潜って、生きものたちの何でもない日常の素顔を写真におさめることを楽しんできました。旅先で博物館を訪れるのが楽しみなのも、個人の知的好奇心の探求という枠を超え、博物館好きが集まり、日常的にそういった情報交換が自然と行われる仕事に就いているからかもしれません。一番下の写真はボホール島のパングラオにあるNova Shell Museumという貝類コレクションの個人ミュージアムですが、地元の子どもが作った貝の工作が館内に所狭しと並んでいました。ここにも、博物館が結ぶ、学びと人のコミュニケーションがあるのだなと、うれしくなったものです。マレーシアのシパダン島を背景にギンガメアジの大群キャンディケインドワーフゴビーNova Shell Museumの展示室こんな私たちですが、これまでのように自然を心から楽しむことが難しくなってきていると感じます。温暖化、土地の開発、土壌の汚染、相次ぐ乱獲と絶滅など、様々なことを学ぶたび、私たちの好きな自然や生きものたちが置かれている過酷な状況が見えてしまったのです。子どもたちは自然の中で遊んでおらず、大人も原体験として自然の中での楽しみを持っていない人が多いように見えました。こんな社会で、どうやって私たちの周りの自然を守り、大切にしていくことができるのか…と暗い気持ちになりました。そんな気持ちをひっくり返してくれたのが、「博物館」という存在です。自然史博物館は、地球の成り立ちや生命の進化を追いかけ、その証拠を標本として収集・保管し、その意味や価値を社会に伝えるための施設です。私たちの関わる大阪市立自然史博物館では、動物・植物・昆虫・地史・第四紀の5つの研究室に14名の学芸員が所属しています。さらに、博物館を利用する大勢の外来研究員が毎日のように出入りして自己の研究を進め、自然や生きものを学ぶ様々な市民サークルの関わりも存在します。博物館を積極的に楽しむ「友の会」には大人も子どももいます。年齢も立場も関係なく、みんなで野外に出かけ、身近な自然を観察し、時には市民調査として一緒に地域の水質を調べ、カラスのねぐらやツバメの巣を数えたりします。熱心に活動する人々は、それぞれのアプローチで「自然」に向き合い、研究し、楽しみながら学び、その成果を私たちの社会に還元してくれているように見えました。漠然と自然を好きな気持ちが揺らぎかけていた頃、博物館の存在を知ったことで、自然や生きものに対し、できることをみんなで少しずつ確実に実施すること、何よりも様々な生きものの魅力を伝え続け、そんな仲間を増やしていく重要さを認識することができました。そして、私たちは二人とも「博物館に関わり、自然の魅力を伝える」NPO法人の職員として、生きていくことになりました。コロナ禍で子どもの自然体験・文化体験は大きく減少子どもの教育に関する調査から、自然体験、生活体験、文化芸術体験が豊富な子どもは自己肯定感や探究力が高く※ 1、博物館などの文化施設の利用は、社会経済的背景の相違に関わらず、子どもの学力を伸ばす傾向があることが示されています※ 2 。しかし、内閣府による調査では、新型コロナウイルスの影響の中で、学校での子どもの体験活動と、団体などが行う自然体験活動への参加率が大きく減少したことも明らかになっています※ 3 。生きる力を育むはずの自然とのつながりが最も必要とされる時に、それが体験できなくなっているのです。※ 1「青少年の体験活動等に関する意識調査(令和元年度調査)~心身の諸側面、社会経済的背景との関係~ 」実施:国立青少年教育振興機構 青少年教育研究センター※ 2「平成29年度全国学力・学習状況調査」 実施:文部科学省※ 3『令和3年版 子供・若者白書』環境問題に関する寄付も厳しい状況に社会の情勢が厳しくなると、人々の目は環境問題よりも身近な貧困や、家族の問題に向きがちになります。コロナ直後の社会調査では、環境問題への関心が大きく順位を下げました※ 4 。また、最新の「寄付白書2021」でも、新型コロナなど生命の危機に関わる問題が寄付対象の上位をしめています。※5※ 4 公益社団法人日本フィランソロピー協会「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う企業の社会貢献活動と非営利団体の現状に関する緊急アンケート結果(詳細版)」※ 5 認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会「寄付白書2021」しかし、人間の豊かな暮らしを支えるのは地球であり、生物多様性の保全と維持なくしては実現できません。派手な成果は出なくても、基礎研究が大事なのと同じように、どんな状況であっても継続させていくべき私たちの義務だと考えています。そんな博物館の役割の象徴とも言えるイベントが、今回どうしても、かつてのように蘇らせたい「大阪自然史フェスティバル」なのです。3.メンターと才能(フェス)はどんな関係で、何をして、どんな時間を過ごしたのか川上・西澤にとって、博物館に集う学生たちは「かつての自分」です。博物館を舞台に開催される「大阪自然史フェスティバル」の担い手として奮闘する2日間は、学生たちにとって今まで体験したことのない活動的な普及教育の現場となります。出展している自然観察団体との交流や来館者とのコミュニケーションが育むものに希望を見い出し、このような分野での活躍を今後の目標とする若手もいます。残念ながら2年間にわたって大阪自然史フェスティバルを開催できなかったことにより、この貴重な経験を得られず卒業することになってしまった学生が存在します。仕方ないとはいえ、そのようなことが2度とあってはなりません。将来の選択を考える貴重な時期に、博物館で自然と生きものに関わる様々な生き方に触れてもらうことで、自分自身の生き方を通して、人も自然も生き生きできる社会を作ろうと考える人たちが、一人でも多く増えて欲しい。「それを学べる機会=大阪自然史フェスティバル」の存続を、みなさまが応援してくださることを願います。11月の開催に向け、現在事務局では準備を進めていますが、すでに大幅な減収がわかっています。今年は新型コロナ対策として、全体のブース出展数を大きく削減させたため、全体の団体数は130→89団体に。そのうち有料出展は35→23団体に減少、協賛企業数も前回の50%減と厳しいスタートを切っています。先にお話ししたように、このフェスは個人・団体の寄付、協賛金によって全てを賄っています。皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。いただいたご寄付は、大阪自然史フェスティバルの運営に関わる経費に大切に使わせていただきます。・事務局運営費(企画・コーディネート費、広報宣伝費、事業運営費、事務経費)・会場運営学生アルバイト・講師謝礼・広報物デザイン、WEBサイト制作・印刷費・運営スタッフユニフォーム・郵送費・消耗品費(間仕切りパネル、消毒用品、抗原検査キット、高機能マスク等)・雑費また、終了後速やかにホームページに収支報告を掲載するとともに、ご寄付いただいた皆様にご報告いたします。*博物館と出会ったことで、自分たちと同じように自然へ情熱をかけ、向き合い、学ぶ人々と繋がり合い、その輪を広げていくことができた、川上さんと、西澤さん。多くの方が、自然の魅力に触れるきっかけになるよう、フェスティバルの成功のため、並々ならぬ情熱を掲げています。デジタル化で屋外に出て自然と触れ合う機会が少なくなってきた現代、新型コロナウイルスの影響もあり、さらに子どもたちは自然から物事を学ぶ機会が失われつつあります。自然に触れあうということは、同じ地球上に暮らす様々な生物のことを知ることであり、ひいては、自分たち人間のことを知ることにもなると思うのです。その足掛かりになるフェスが成功するよう、ぜひ、プロジェクトにご参加いただき、応援とご支援を頂けましたら幸いです。プロジェクトへの支援はこちら