奈良の地域循環を生むもの作り×場づくりをぐんぐん進めるプロジェクト
奈良の生産者さんの薬草・ハーブをつかい、障がい者・高齢者・子育て中の女性のしごとをつくる。多様な人たちが関わるもの・場所を育てます‼!
ローカルで見つけた、豊かな時間を過ごすためのヒントコンクリートジャングルで生き、満員電車に乗り、ひたすら数々の業務をこなす……そんな日々を過ごしている方が、多くいると思います。ほかにも、様々な理由から、心身に余裕のない生活を送ることがあるでしょう。私たちの生きる社会は、より便利に、より効率的に過ごせるように、発展してきました。それにより、多種多様な恩恵を私たち人間にもたらしてくれましたが、ときに、便利さや効率化によって、心とからだのバランスを崩してしまうことがあります。例えば、冷暖房が整った室内に慣れすぎて、冷え性が誘発されたり。添加物の多いものを取り入れすぎて、アレルギーを発症してしまったり。スマートフォンを手放せず、頭痛などを引き起こしてしまったり。しかし、こうした現代病の原因を取り除くというのは、簡単なことではありません。私も、都市部で仕事していた前職時代、からだの不調に悩んだことがあります。暗黙の了解で、効率を求められる社会で生きる人たちも、疲れているように見えました。どのように心とからだのバランスを取ったらいいのか、悩む日々を過ごすなか、出張で全国のローカルエリアに足を運んだとき、私はある魅力に気が付きました。豊かなの自然の中で、地域に根差した資源を頂き、自立・自活して暮らす人々の姿──様々なエリアを訪問してきましたが、どの土地に行っても、その魅力は変わりません。ローカルでは、都市部と異なり、不便な面もたくさんあると思います。しかし、その土地にあるものを利用し、工夫して生きるような暮らしの中には、本来私たちが持つべき「余白」があるように感じます。それに気が付いた時、私は、効率お金を稼ぐ生き方を求めていない、という声を自らに感じたのです。薬草のちからを通じて、じわじわ、という感覚を届けたい自然を感じてリラックスしたり、自分の時間を楽しむための、余白となる時間を、生み出したい!心とからだのバランスを取るひとつの答えとして、そう思いつき、故郷である奈良県に私は目を向けました。自然が豊かで、文化と歴史に満ちたこの土地で、私が出会ったのは、薬草でした。自分が生まれ育った土地の特産品のことと、人類の歴史を支えてきた薬草の効能について、農家さんから直接話を聞く中で、ふと、お風呂のイメージに繋がりました。特に日本はお風呂に対する愛着が深く、薬草を取り入れた滋養の薬湯の歴史もあります。それは、入浴という一時の時間の中で、自然に触れるひとときにもなります。四季折々で得られる自然を取り入れ、草花や果物の香りを嗅いでリラックスし、からだをお湯で温めながら、薬草の効果も得る。現代では、時に忙しくてシャワーで済まし、疎かにしてしまいしがちな入浴の習慣ですが、例えば30分ほどの時間に、心にもからだにも、そして自然にも優しいものを取り入れられたら、どんなに素敵でしょう。ちょっとした時間で、じわじわと、ゆっくりからだが温まっていくように、ストレスの糸や、不調の糸がほころびていくように、想いをかけて出来上がったのが、「お風呂のハーブ」──『jiwajiwa』という新しいブランドです。「お風呂のハーブ」は、自然素材100%の入浴料として、現在は、ひのき、よもぎ、びわの葉など、5種類あります。巾着に乾燥させた植物や果物を詰め込んだものをお湯に入れ、じんわりと植物のエキスが染み出すのを楽しむつくりとなっています。この入浴剤は、自然の恵みをシンプルに感じてほしいから化学薬品などは一切使っていません。使用後には原材料は土に撒いて自然に還すこともできます。市販の入浴剤のように強い香りはしません。しかし、ゆっくりと成分がお湯に溶けていくにつれ、植物のほのかな香りを感じられると思います。多様な人が、活躍できるように自然を感じるひととき、というのは、人間という生き物にとって、必要な時間です。それを、お風呂の中でほっと息をつきながら、余白ある時間として五感で感じていただきたいという想いを込めて、一つひとつ手づくりで丁寧に入浴剤を仕上げています。しかし、私たちは、この商品をただ大量に生産し、たくさんの利益を得たいとは思っていません。生産するにあたって、誰と共につくるか、そして関わる人たちが心地よい背伸びを続けられる程度の成長を目指した適量生産であること、を大切にしたいと思っています。それは例えば、「ひたすら効率を求められる社会」では活躍がしづらい方たちの存在です。この世界には、様々なバックグランドを持つ人であふれています。当然、一人ひとり、得意分野は異なりますし、活躍できる場所や興味も異なります。しかし、時として効率を優先されることで、活躍の場が狭まってしまう方たちがいます。例えば、それは、障がい者や高齢者、子育て中の女性の存在です。もっと社会は多様なはずなのに、効率よく働ける人だけが会社に集まり、社会を構成しているように感じてしまう時があります。私は、この多様な社会において、多様な働き方が普遍であって欲しいと思います。だからこそ、大規模で効率のよい経済の仕組みからは取りこぼされるモノや人たちと一緒になり、モノづくりをすることを大切にしています。自分らしくあれる場所、「jiwaiwaな、おうち」にお招きしたくて自然の豊かな土地の、木の温もりを感じる古民家でゆっくり過ごしてみたい、と思ったこと、ありませんか?jiwajiwaな取り組みを行う私は、奈良県吉野町の古民家で暮らしています。吉野檜や杉の林が見える山に囲まれ豊かな自然がすぐそばに感じられ、私の愛猫である2匹──ホルスと豆大福が、お庭でお客さんをお迎えする、癒しの時間が流れる場所です。お風呂のハーブをリリースして、この土地で根を張って暮らし始めてから、この暮らしの愛おしさを日々感じます。そうすると、次第に、多くの形取って、また新しい「余白のある時間」を届けられないか、考えるようになりました。そこで始めた取り組みが「jiwajiwaな、おうち」です。薬草をつかった足湯の体験、菜食ランチ、季節の養生講座、などを楽しめるイベントを不定期で開催しています。実際に、イベント参加者とともに薬草の畑ツアーをしたり薬草農家さんから話を聞いたり、お庭で摘んだ薬草を使って足湯をしてみたり。そしてからだにやさしい地産の野菜などを使ったごはんを一緒に食べたり。これはかつての日本では。どこでも当たり前の光景だったかもしれません。みんなで自然に触れ、ちょっとした会話の中で、生活の知恵を得られたり、相手の考えに学びを得たりと、当たり前だけれど、貴重な時間だったのではないでしょうか。しかし、量産・機械化をよしとする戦後の経済成長から現在までの時の流れのなかで、これらの時間を過ごせる機会は減ったように感じます。私は、その時間を新たな余白の時間として、多くの人と共有し、体験しあいたいと考えました。それが、「jiwajiwaな、おうち」の取り組みです。昨年の春にオープンしたおうちには、奈良県内からはもちろん、大阪・京都・兵庫といった近隣他府県以外にも首都圏や東北・沖縄から様々な方にお越しいただいています。薬草について学ぶ会では、薬草を学ぶことを通じて自身の嗅覚や触覚、味覚などの感性に敏感になれた、と言っていただいたり。足湯などの癒しの体験では、久しぶりに自然の声に耳を傾けて、ゆったりした時間を感じられた、と言っていただいたり。ご近所の森へ入って木々の葉がそよそよ風に擦れる音を聞いたり虫や動物の気配を感じたり、お庭のウッドデッキでぼんやりと山や木々を眺めたり。時には、実際に「お風呂のハーブ」づくりに携わっている生産者やバイヤーさんなどとも交流いただき、多様な方が関わり合い、この場所だからこその出会いがうれしい、と言っていただくこともあります。私は、この取り組みを通じ、関わっている人とのソーシャルな場を設けたいと思っています。商品を一緒に作ってくれている人にとっても、実際に商品を使う人にとっても、より良い循環をもたらしていくことで、この「jiwajiwaな、おうち」が、誰かにとって癒しになる「おうち」になれば、と願っています。じわじわと、ものづくりの輪を広げていくプロジェクト、スタート!いまjiwajiwaは、奈良県を拠点に地元の薬草を使った取り組みを行っていますが、今後は、日本全国で各地の地域資源を使ったjiwajiwaの商品開発と生産、そして働きにくい人たちと共に創りあげる「ものづくりの輪」を広げていく計画をしています。とはいえ、様々な構想を練っている中で、第一に行おうとしていることは、「お風呂のハーブ」に新たな仲間となる奈良県産の薬草を使ったブレンド2種類を加えることです。現行品に使用している原材料以外にも、魅力的な品目の薬草が沢山あります。今回は、黄檗(きはだ)という伝統胃腸薬「陀羅尼助」の原材料になる薬木の葉と、真菰(まこも)という神事や浄化に用いられる薬草をラインアップに加えます。また暮らしに馴染みのあるお茶(ちゃのき)も古来から薬草として知られています。奈良県産の大和茶は、自然農法に取り組んでおられる悠三堂という生産者さんとタッグを組みます。地域に根付いた薬草の文化を発信しながら、生産者さんが丁寧に育てた薬草の販路をつくり、障がい者・高齢者・子育て中の女性など多様な方の雇用の場も生み出していく、という様々な効果を生み出したいと考えています。第二に、「jiwajiwaな、おうち」をより楽しんでいただくためのプロジェクトを進めています。具体的には、足湯をするための杉樽や、湯を沸かす薪ストーブの導入、薬草の庭の整備、休息できる東屋やテラスのリニューアルを考えています。ここでは、jiwajiwaに関わる使い手・作り手・伝え手など様々な立場の人たちが、分け隔てなく出会い繋がることを楽しみながら「余白の時間」を過ごせるようになり、jiwajiwaの「お風呂のハーブ」を体感したり、交流したりすることを目指しています。これらの取り組みを実現するため、このプロジェクトにご支援くださいますと幸いです!わたしたちと一緒に、心身と地域によいものづくり・場づくりを体感しつつ、じわじわと広げていけたら嬉しく思います。プロジェクトの詳細はこちら余白の時間から、自分を大切にし、他者と繋がり合う社会へ薬草は、実はその土地でしか育たなかったり、育てることが難しかったりと、気難しい面があります。機械化して栽培することができず、手作業により、しっかり手をかけてあげないとないといけない品種もあります。そのため、安価で大量に販売する、ということ自体ができません。私たちがお届けする「お風呂のハーブ」は、そうした背景もあり、市販のもののようには安くありません。薬草を手塩にかけて育てた農家さんや、商品の生産に関わってくれている人たちに対しても、しっかりと対価を払いたいと思い、使い手にとって満足感のある価格であることはもちろん、製造に関わる人たちに無理のない設定した価格になっています。経済活動の一般的なセオリーである「利益を得るために、安く作り、売る」という構図から逆行しているかもしれません。しかし、私は自分たちのやり方がどこまで通用するのか長い時間をかけたチャレンジをしたいと考えています。。現代の社会の在り方から様々な恩恵を受け、助かっていることも事実ですので、もちろん否定はしません。しかし、何度も繰り返すようですが、効率を求めた果てに「余白の時間」が損なわれ、心とからだが疲れ切ってしまっては、元も子もないと思うのです。私たちは、jiwajiwaの取り組みを通じ、暮らしに余白を取り入れ、まずは自分自身がゆとりを得ること。そして、人と人とが繋がりあい、自分や自分の大切な人たちにとって本当に必要なこととは何かを、ちょっとずつ考えていくこと。そして、みんなで多様性を生かせる仕組みを形作れるよう、繋がり合えるきっかけになれば、と思っています。効率は、時として必要かもしれませんが、人生のすべてではありません。効率的じゃなかったとしても、多様な人が、多様な形で社会と関われるかたちがあってもいいのです。ちょっと疲れちゃったな、という時は、お風呂にゆっくり浸かってみてください。もし良かったら、お風呂のハーブを取り入れて、薬草のやさしさに触れてみてください。そして、自然豊かな環境で、人と繋がりたいな、と思ったら、「jiwajiwaな、おうち」にぜひお越しください。じわじわと、心とからだがほぐれる体験を、お楽しみいただけたら幸いです。■プロフィール松本 梓(まつもと あずさ)jiwajiwaをはじめた人。大手メーカー勤務時代、全国各地を訪れるなかで、 ローカルエリアの魅力に気づく。じぶんらしい働き方・生き方を考えたいタイミングと重なり、 日本古来の薬草を原材料にした自然素材100%入浴料「お風呂のハーブ」をつくるため、 セルフケアアイテムのブランド『jiwajiwa(じわじわ)』をスタート。 奈良市出身。 自然に囲まれて暮らしたいと、奈良・吉野の山奥に、2匹の猫ホルス・豆大福と住んでいる。 美味しいお蕎麦を食べたり、お花を活けたり、散歩したりするのが好き。